蜂の専門家が教える!まだ小さい蜂の巣を安全に駆除できる3ステップ

ハチ駆除のノウハウ 2018.05.17

こんにちは!ハチのコンシェルジュ中村です。

冬があけて風もなんだか暖かくなってきたかなと思えるこの季節。
洗濯物も少し楽しくなりますよね。

しかし、そんな気分も一変させる「あるもの」が、この時期は現れます
それが「小さなハチの巣」です。

小さい蜂の巣

「えっ…こんな壁にハチの巣なんてできるの…コレ放っておいたらやばいし、かといって駆除するのもなんだか刺されそうでこわいしどうすればいいんだ…」

この記事を見ているあなたも、今こんなお悩みを抱えているのではないでしょうか。

私も学生時代、春先のことでした。ベランダにいきなり現れたんです。

壁にできた小さい蜂の巣

「えっ…まさかこんなところにつくっちゃうのハチさん…?」

めちゃめちゃに焦ります。
気持ちよく洗濯をしていた気分から一変、冷や汗が止まりません。
「ちょっとでも動いたら襲ってくるんじゃないか?」と怯えるあの頃の私が、今となっては懐かしいです。(今は仕事柄、すっかり平気になりました)

しかし、このサイズの巣であれば自分で駆除することができます
というのも、この時期に巣をつくっている女王蜂は、攻撃性がほとんどないからです。

今回は、小さいハチの巣における駆除の仕方を解説
ハチ駆除屋さんで働いてきた経験から、安全なやり方をお教えします!

「このサイズの巣は自分で駆除しても大丈夫なの?」
「この巣ってアシナガバチなのスズメバチなの…?どっちでも危険じゃないの?」
「巣を撤去したらまた巣をつくったり仲間に襲われたりしない?」

これはよく、「小さなハチの巣を駆除したい」というお客様から聞かれることです。
こちらの疑問を解消できる内容も記事に盛り込んでいますので、チェックしてみてください。

あなたにとってこの記事が、ハチの不安を解決できるものになれば幸いです。
「自分で駆除できそうか」の判断基準にして、安全に駆除していきましょう!

安全に駆除できるのはどのサイズまで?駆除する前の不安な疑問にお答えします。

「このサイズって自分でも駆除できそうですか…?」

これは、お客様からよく聞かれる質問です。

「放っておいたら巣が大きくなる」なんてわかっていても

「いざ巣に触って襲われたらどうしよう…!」
「スズメバチとかだったら猛毒なのかな…?万が一刺されたら…?」

いろんな不安でモヤモヤしてどうしようもできない。とてもよくわかります…。

しかし、私中村にお任せください。この章では、駆除前の不安をすべて解消するべく、あなたの疑問にお答えしたいと思います!

自分で駆除しても大丈夫な時期や大きさってどのくらいなの

正直に言いますと、巣の大きさでは基準を測れません

というのも、ハチの種類によって大きさは様々だからです。
そのハチや巣の繁殖力によっても、危険な大きさは変わってきます

では、何を基準にすればいいのでしょうか?

ポイントは、「一匹でその巣を作っているかどうか」です。

あなたの家に巣を作っているハチは、一匹でつくっているのか?を見てみましょう。
たとえば、冒頭でもお見せしたこんなハチの巣です。

一匹でその巣を作っている蜂

ハチがまだ一匹の場合、そのハチは女王蜂です。
女王蜂は、ほとんどの種において攻撃性がなく、めったに刺してくることはありません

このとき、まだ働き蜂たちは羽化しておらず、一匹のみでせっせと巣をつくっているので、安心して巣を撤去することができます

逆に、こんな蜂の巣には注意が必要です。
働き蜂がいる巣

まだ小さい巣ですが、女王蜂の他にあと4匹、せっせと巣を作っています。

このときに巣作りを手伝っているハチは働き蜂
働き蜂は巣を守ろうと警戒心を強めているため、攻撃性が高いんです。

そのため、危険度は大きくなります。
自分で駆除することもできますが、安全とは言い難いのが正直なところです…。

完全防備で自分で行う!という方はこちらの記事も参考にしてみてください。
巣を駆除するノウハウが詳しく書かれています。

このハチの巣ってスズメバチ?アシナガバチ?

「駆除したいけど毒が強いやつだったら嫌だし…殺虫剤も効くのかわからない!この巣ってなんのハチなの?」

と不安になることもあるかと思います。
しかし、ご安心を!
ハチの巣には、はっきりと種類を見分けることができる特徴がありますので、これから解説をしていきます。

アシナガバチの巣の特徴

アシナガバチの巣はこんな形をしています。

アシナガバチの巣

傘みたいな形です。巣穴がむき出しになっていて、穴の数は25~60くらいです。
この写真ではすでに働き蜂が誕生してしまっています。

アシナガバチが攻撃的になる時期は?

アシナガバチの活動時期を表にまとめると、以下のようになります。

巣の作り始め 4月上旬〜5月中旬
働き蜂の羽化 5月下旬〜7月
攻撃的になる時期 6月上旬~9月上旬
衰退する時期 9月下旬〜

アシナガバチの巣は、最終的にもそこまで大きくならないのが特徴です。
そのため、「小さいから大丈夫かな」と余裕を持ってしまうと危険
6~8月は、巣を刺激すると蜂が攻撃体制をとって刺しにくる可能性が高いです。

見た目に惑わされないように、ハチの数と時期に注目するようにしましょう!

スズメバチの巣の特徴

一方、スズメバチの巣はこんな特徴をしています。

スズメバチの巣

先ほど紹介したアシナガバチの巣に、さらに帽子を被っているような状態です。
これは外被とよばれるもので、作り始めの巣ですと、直径5~8cmほどの大きさがあります。

また、スズメバチの中には、こんな巣をつくるハチもいます。

フラスコを逆にしたような形のスズメバチの巣

フラスコを逆にしたような形のハチの巣です。

フラスコ状態の巣は、スズメバチがまだ一匹で巣を作っている状態。
働き蜂が生まれると、突き出ている部分を噛んで取り除きます

この部分がなくなると、働き蜂が生まれたという合図になります。

この部分がなくなると、働き蜂が生まれたという合図になります
スズメバチが攻撃的になる時期は?

スズメバチの活動時期を表にまとめると、以下のようになります。

巣の作り始め 4月下旬〜5月下旬
働き蜂の羽化 5月下旬〜7月
攻撃的になる時期 6月〜11月
衰退する時期 11月〜

スズメバチは、刺される時期が長いということが特徴。

また、他の種のハチより攻撃性が高く、痛みや毒がもっとも強いハチです。
通常、「2回目刺されたら死の危険」という考えをお持ちの方が多いですが、複数のスズメバチに刺された場合は毒作用そのもので死に至る危険があるほど。

そのため、働きバチが生まれている場合は、無理をせず、駆除業者や自治体へおまかせすることをおすすめします。

ちなみにミツバチの巣の作り始めって?

ミツバチは、何年も同じ巣で生活をして、新しい巣も数十匹のハチでつくるので、いつの場合も刺される可能性があると思っておいた方が良いです。
(しかし、ミツバチはもともと攻撃性が低い種です)

ちなみに、巣はこんな形で特徴的なのですぐわかります

ミツバチの巣

巣を撤去したら怒って襲ってくる、また巣を作られることはあるの?

「撤去したら逆上して刺してきたりすんのかな…」

私が学生の頃巣を発見したときに、思いついた不安はこれでした。巣を見つけてしまったときは、いろんな不安や想像がふくらみますよね。

一匹で作っている場合は襲ってきません。
女王蜂に攻撃性はありません。

冒頭でもお話したように、女王蜂に攻撃性はないので、一匹で作っている場合は刺してくることはありません。落ち着いて駆除しましょう。

しかし、働き蜂がいる場合、自分の巣を守ろうと警戒心を高めているので注意が必要です。

撤去しても巣は作られる?

スズメバチの場合

女王蜂を殺さなくとも、同じ場所にまた巣を作られることはほとんどないといわれています。ひと安心です。

アシナガバチの場合

アシナガバチの場合は同じ場所に巣を作る可能性があります

同じ場所に巣を作らせないためには、巣の撤去後、巣があった場所に殺虫スプレーをしておくことがポイントです。
詳しくは、ページ下で紹介する駆除方法でご説明します!

いざ尋常に勝負!自分で駆除するための必須アイテムと方法を解説

小さいハチの巣を駆除するために必要なアイテムと、駆除方法について解説していきます。

この7つ道具を揃えれば駆除できます

駆除に必要なアイテムは、こちらの7つです。

駆除に必要なアイテム

左から、

  1. 雨ガッパ
  2. 手袋
  3. 長靴
  4. 懐中電灯(赤いセロハンを被せて光を軽減)
  5. ハサミや棒など巣を破壊できるもの
  6. エアゾール型の殺虫剤

ですね!アイテムはこのような役割を果たしてくれます。

手袋 身を守るための装備
長靴
雨ガッパ
懐中電灯(赤いセロハンを被せる) 夜の駆除の灯りに(明るすぎると蜂が寄ってくるため、セロハンを被せます)
ハサミや棒 巣の撤去に
エアゾール型の殺虫剤 巣の駆除と予防に

殺虫剤を選ぶポイント

「蜂用の殺虫スプレーなんて家にないよ!買いに行かなきゃ…」

と思っているあなた!お待ちください。

実は、殺虫剤はハチ用を使用しなくても大丈夫なんです。

というのも、一般的な殺虫剤に入っている成分(ピレスロイド系と呼ばれるもの)でハチは倒せます。

ハチは、ハエやゴキブリよりも薬剤に弱いんですよ。意外ですよね。

殺虫剤を選ぶ時はこの2つをチェックすればOK
  • エアゾール型で、
  • 合成ピレスロイド系の成分が入った

殺虫剤を選ぶことがポイントです!
エアゾールとは、「スプレー型」のこと。燻煙型などの殺虫剤は風の影響を受けるためおすすめしません。

合成ピレスロイド系とは、先ほどもチラっと登場した殺虫剤の成分のこと。
スプレー缶の裏を見ると、成分が表記されているのでチェックしてみましょう。

ピレスロイドの表記を確認

上記のような一般的な殺虫剤(450mlのスプレー缶)だと、十数分スプレーし続けることができます。そのため、1本でも十分駆除することが可能です。

しかし、ハチ用の殺虫剤(300mlほどのハチ用スプレー缶)は殺虫力が強いものの、10秒前後でスプレーが切れてしまいます。

商品を選ぶ際の参考にしてくださいね。

駆除する時間帯は夜がおすすめ

ハチの駆除は、夜にやることが一番おすすめです。
というのも、こんな理由があります。

  • ハチは夜間に活動しないことが多いため、だいたいのハチは巣に戻っている
  • 日中はハチが巣にいない場合もある
  • スズメバチは、夜間は照明がないかぎり飛ぶことができない(海外には飛べるものもいます)

ハチが1匹の場合は昼間でも大丈夫とも言われていますが、安全を重視するなら時間帯にも気をつけて駆除しましょう。

小さいハチの巣はこれでOK!駆除の仕方

駆除方法は、以下の3つのステップに分かれて行います。

  1. ハチと巣に向けてスプレー噴射
  2. 巣をハサミや棒で除去&破壊
  3. 同じ場所に作られないように後処理

下に詳しく紹介していきます!

①ハチと巣に向けてスプレー噴射
スプレー

まずは、ハチの巣から2~3m離れたところから、スプレーを噴射!
巣からハチが出てきていなくなる or ハチが倒れるまで行います。

ハチの体に殺虫剤が付着すると、数秒後〜十数秒後には死亡しますので、その場から飛んでいなくなったとしても、戻ってくることはありません。

②巣をハサミや棒で除去&破壊

ハチが倒れたら、巣を切り取って除去するか、棒で破壊します。
その際に、下に袋を敷いておくと捨てるのにも便利です。

③同じ場所に作られないように後処理

上でも解説したように、アシナガバチに関しては、アシナガバチ本体を倒せなかった場合、同じ場所に巣をつくることもあります。
そのため、作られた場所にスプレーをしておくと安心です。

巣があった付近に、10秒〜20秒ほど殺虫剤をかけておきます。
そうすると元の場所にもどってきたハチはその場に触れて死亡します。

このステップを踏めば、安全にハチを駆除することができます!
全部の工程を合わせても10分程度で駆除できますので、試してみてくださいね。

もし「駆除が怖い」「この場合は?」など不安や疑問があれば自治体や駆除業者さんに相談してみてください。

まとめ

あなたの家にできた「小さいハチの巣」は駆除できそうでしょうか?

  • どのレベルの巣なら、自分でも安全に駆除できるか
  • あなたの家にできた巣は、どのハチなのか
  • 安全に駆除するために用意するアイテムと駆除方法

について解説しました!

ポイントをまとめると、以下のようになります。

  • 女王蜂1匹で巣を作っている場合は、安心して駆除できる
  • できた巣は、見た目でどのハチか見分けられる
  • 用意する道具は7つ殺虫剤は合成ピレスロイド系のスプレー型を用意
  • 作業は夜に!3つのステップで10分ほどで終了

今回の記事が、あなたの不安を解決できるものになることを願います!